Tadhg Kelly氏インタビュー: 模倣ゲームは作るな

Tadhg Kelly
Tadhg Kelly

Tadhg Kelly氏はシアトルに在住する、歯に衣を着せないタイプのモバイルゲームコンサルタントです。Kelly氏はインディーモバイルゲームデベロッパーがいかにリスキーで、将来が不確かな状況にいるかを痛感しており、誰でも業界大手と競い合って次の「キャンディークラッシュ」を狙えると思ったら大間違いだと言います。

デザインコンサルタント、ブロガーTechCrunchコラムニストと多方面で活躍するKelly氏は、それでも希望がないわけではないと指摘しています。革新的な仕事をしたり、モバイルゲーム事業を始める大手ゲーム会社とパートナーを組んだりすれば、インディーゲーム会社にも道はあると氏は言います。たとえば任天堂とDeNAが提携したように、モバイル分野に進出する必要性を感じている企業はたくさんあります。

ニッチなオーディエンスをつかむことが成功の鍵だというKelly氏にインディーデベロッパーにとってのモバイルゲームの未来について伺いました。

Pepe Agell(筆者、以下A): インディーデベロッパーにとって、今のモバイルゲーム業界はどのような状況なのでしょうか?
Tadhg Kelly氏(以下K): 今はとにかくどんどん新しいゲームがリリースされていますよね。その多くはポピュラーなジャンルのもので、互いのスタイルを模倣し合っているのが目立ちます。お互いがお互いをテンプレートにしているんですよ。そういったテンプレートがKing社、Zynga社、SuperCell社のような大きなゲーム会社やパブリッシャーが作ったものだということに気づいていない、あるいはその事実を無視している人が多すぎます。これらの大企業によるゲームの成功は、イノベーションというよりマーケティング戦略によって成り立っている部分が大きいことに気づかなくてはダメです。

A: では、インディーデベロッパーは今何をしたらいいのでしょう?
K: メインストリームを狙ってSuperCellのように爆発的ヒットを生もうとする風潮がありますが、ほとんどの場合、市場でしっかりした地歩を固めているわけではない。だから、まずはオーディエンスを見つけて、がっちり離さないことが先決ですね。それには新しい発想からイノベーティブなゲームを作り、ニッチな分野を切り開いていくことです。1つのゲームで市場を席巻しようなどとは思わずにね。「Monument Valley」のようなゲームがヒットするのは、1年に1度あるかないかですから。インディーデベロッパーが成功するには、ニッチ市場を探すのが一番理にかなってますよ。たとえば、鉄道シミュレータなどが好きな人などはニッチなオーディエンスです。こういうオーディエンスがいてもゲームがグローバルにヒットすることはないでしょうが、このようなニッチなゲームには常に熱狂的なファンやプレイヤーがいます。熱心さで言えば、カジュアルゲームのプレイヤーとは比べ物にならないでしょう。こういったやり方なら、インディーでも十分勝負できます。

Image via monumentvalleygame.com
画像はmonumentvalleygame.comから転載

A: では、今どんなニッチ市場が熱いとお考えですか?
K: アーティスティックなものはインディーゲーム市場で常に活発な分野です。シミュレーション系も人気です。カジュアルゲームではなく、シムシティのような少し凝ったものですね。昔のゲームマニアが好むようなゲームがウケているようです。Telltale社はクリックアドベンチャーゲームで群を抜いていますが、日本のRPGのようなゲームにも関心が集まっています。ファイナルファンタジー系には活発なオーディエンスが多いです。

A: 大手ゲーム会社、特にコンシューマーゲームを作っている会社がモバイルゲーム分野に進出してきています。このような動きはインディーゲームコミュニティにどう影響するのか、そこにインディーデベロッパーが活躍する余地はあるのでしょうか?
K: コンシューマーゲーム製作会社が従来のゲーム市場と同じようにモバイル市場を捉えていることはよくあります。期待されるものが違うことを理解せずに大金を投じて失敗している企業も出てきています。なかにはEAのようなモバイル業界のしくみをきちんとわかってモバイル収益を増やしているところもあり、それはそれで感心するのですが、そういう大企業が作るのは「キャンディークラッシュ」のような商業的なゲームです。要は同じモデルを踏襲しているんです。インディーはその同じ土俵で1対1のガチンコ勝負はできません。でも、大企業はニッチな領域をうまく探せない。大手企業にはニッチ市場は狭すぎるんです。限られたオーディエンス向けのゲームを作るのは効率が悪いと考える傾向にある。

Image via Telltalegames.com
画像はTelltalegames.comから転載

これからのモバイル業界はサードパーティ市場が盛り上がってくると思います。たとえば、インディーゲーム会社がEAにゲーム製作を委託され、ロイヤルティや収益をもらうなどです。コンシューマーゲームではゲーム開発費用があまりにもかさむのでサードパーティに製作を依頼するようなやり方は根づきませんでした。でも、モバイルは違います。モバイルゲームでは予算がコンシューマーゲームほど跳ね上がらないので、EAのような大手の場合はゲームを全部社内で作るより、外部のデベロッパーが製作したゲームをまとめてリリースしたほうが得策だと思いますね。

A: 大手パブリッシャーが主流のゲームジャンルで勝負したいと思っているインディーデベロッパーにアドバイスはありますか?
K: 秘訣は新しいデザインの開拓です。(コンサルタントの仕事をしていると)新しく農場ゲームを作ったと言って、すでに出回っている一番人気の農場ゲームとアイコンから何からそっくりそのままのようなゲームを見せられることがあります。それで、たった1つだけオリジナルな機能があると言ってその説明を1時間くらいかけてするんです。こういうインディーデベロッパーは結構います。オリジナルな機能とは、マルチプレイだったり、昼と夜の空の色の違いだったり、3Dグラフィックだったりします。もう定型が決まっているわけですよ。今成功している手法を模倣しているだけで、進化させようという発想がないんです。開発するゲームを人気ゲームの型に当てはめて、1つ何か機能を追加すればプレイヤーが人気ゲームを放棄して、こっちに流れてくると思っているのです。こういう考えがあまりにも横行していてびっくりしますよ。でも、こんなやり方が通用するはずはありません。

ゲームがF2Pであろうとなかろうと、新しいテーマや今までとまったく違ったアートの形を見つけること。新しいゲームプレイやゲームのメカニクスを発案すること。どこかで見たことのあるようなゲームではなくて、どんなに大変でもリスクがあっても、新しくてすごくいいゲームを作ること。インディーデベロッパーは、そういうことで成功のチャンスを作っていけると思います。

Leave a reply